ここにはもういない
昨日は、大事な人のお通夜で、
寂しくて、懐かしくて、あったかくて、嘘みたいで、
もう、どうしようもない日でした。
冷たい雨がざんざん降って
ああ、地に返って、
もう新しく生まれ変わる手続きに入っているのだな、ということを、
今世の終わりを、すっかり周りに納得させるような雨の夜でした。
今世の終わり、と言っても、普通は今世しか体感できないので、生身の人間としてはもう、お会い出来ないのでしょう。
いつものピカピカの笑顔の写真で迎えてくれて、
お顔もしっかりしていて、
そばに立つ優しいお顔の奥様が、
こっちからもみてあげて。いい男だから!
って声をかけてくださって。
本当に、幾つになってもいい男。
そして、奥様にそう言わせる素敵な方!
三日前まで、ご飯を楽しみにしていてね。
ってお話も、
なんだか、らしくって、
未だに嘘みたいで。
斎場に入る列に並んでいて、
何してるの、ヘぇーっ葬式?おれの?
本当?
ふーん、そうなの。
来てくれたの。
って声をかけられた気になったり、
式はもういいよ、
お酒飲めないけどビール一口!
って声も聞こえてきそうだったり、
もうこの身体(容れ物)、
もたなくなっちゃったから、移動したんだよ、
って、ちょっとつまらなそうに、一緒になってお顔を見てるような気がしたり、
ちょっとは悲しまれたいかもしれないけど、それでももう、本人は悲しんではいない感じがしました。
素敵な人なんです。
仕事ができて、
遊びも真剣で、
大らかな人柄で誰でも受け入れてくれて、
愛情があって。
太く力強くしなやかな、かっこいい方です。
これからは生き続ける場所が
私にとっては記憶の中になりますが、今も大好きです。
場所を変えても、
美味しいものをたくさん食べて
美しいものをいっぱい見て、
ずっとずっと幸せであることを
私は信じてます。
出会いをありがとうございます、これからも大好きです。